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ご存知のように、日本庭園の大きな特長は、水、石、植栽、景観の4大要素を曲線による造形と左右非対称で表現した自然そのものの風景を手本としたものです。四季のある国で風雅の心を持つ日本人は、風や月、花や虫に季節の移ろいや美を感じます。池や手水鉢に映る月、松の枝越しに透かし見える月、それらを愛で、月下の宴では酒盃に月を映して飲み干すというような日本人の持つ独特の感覚を重視し、それを現代の庭に噛み砕いた形で生かせるよう、新しい提案を実践して行きます。
上/富嶽三十六景 神奈川沖浪裏 北斎画
左/名所江戸百景 深川洲崎十万坪 広重画
日本の先人の絵師、北斎や広重の構図を見ると、人間では不可能な視点で絵を描いています。穏やかな波も、魚の視点で見れば大波となり、微細ですが、北斎の富士山の火口が見えるのは鳥の視点でしょう。当時は鳥の視点でしかありえない構図です。このような素晴らしい先人のセンスを生かし、柔軟な発想で多面的に物を見ることが大切だと思います。鳥や虫、魚の視点で構成する庭や森のデザインは、これまでの人間の視点でつくられたそれとは一線を画しています。そこからは、人にも環境にも優しい時間と物語が生まれます。花や鳥、蝶を見て心を癒す、それがひとつ目のコンセプトです。
人間がつくり出したすべての文化の中で、私は一番美しい造形が文字だと考えます。紀元前3000年頃から使われていた古代エジプト文字は、現在のアルファベットのルーツと言われています。日本では中国の漢字をベースにして女性が使う柔らかなひらがなが生まれました。アルファベットとひらがなのラインの組み合わせは、リズム感があり、私のデザインの大切な要素となっています。これがふたつ目のコンセプトです。日本人として生まれ育った風土や文化、自然観を大切にし、禅の心、生命力ある和洋折衷の様式美を表現します。
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